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昭和10年代の時空

今年は昭和97年、77年前の昭和20年にこの世に生をいただいたボクが晩年、亡くなった親友修さんと編集・出版した写真集「昭和10年代の時空」に魅せられた田舎に移住した写真家・故郷の文化人二人によって展示会が昭和10年代の写真愛好者の出生地で2回開かれることになる。左写真は、愛好者の一人ボクのおじさんがレイテ湾で撃沈戦死する戦艦扶桑に乗り込む二前年に防府天満宮でシャッターを切った作品である。

右二人はおじさんの父母で、左二人はおじさんの兄夫婦であり、兄はもう一人の写真愛好者ボクの父だ。桜爛漫に陽光がその柔らかい影を落とす素晴らしい光景に、面白い時代背景をボクは見出している。

2組の夫婦とも夫の影を踏まない数歩後を歩きつつ、母と息子は横ならびに歩んでいる。太平洋戦争が終わってからの民主的・超リベラルなボクの家族しか知らないボクにとって、きわめて面白い写真なのである。この時から70年も生き続けた父は、敗戦を弟の死をもって経験し、ボクと生きた戦後は、誰よりも時の権力をこき下ろす極めてラジカルなヒトとしてその後ずっと存在し続けたのをボクは見届けてきた。海軍大臣賞懐中時計などで権力に騙され死んでしまった写真仲間・弟分の死に追い込まれる壮絶な想いを足した当然のふるまいだったのだろう。100才を越えた朦朧頭脳はボクとおじさんを入れ替えて詩を迎えようとしていたのである。

「昭和10年台の時空」は96才になった父が、ふところに隠していた1300枚の6x6ネガをボクに渡してくれた直後に、修さんのスキャンデジタル化協力のもとに自費出版文化賞をいただいた二人の作品集である。防府、大阪、今回の真庭、湯原、4回の写真展を経過して、もっと持続させたい。ボクは、おかやまけん真庭市真庭市禾津に常設「千年写真館」を創設している。

(父・千明、おじ・年了から、「千年写真館」と命名)

近くを通りがかる機会があれば、ぜひご覧いただきたい。写真一枚いちまいが当時の「自分度」の高く豊かな生活風景をよみがえらせていますヨ。

 

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