家畜が地球上総動物重量の60%を占め、人類が36%の地表を加工する。半世紀前に全くなかった大阪市の超高層建築は今や人類の墓場を指示しています。ボクの住む淀川右岸から市内を眺めると人気(ヒトケ)を感じない墓石の大集合の光景です。地上を支配した人類の墓場としては「まだまだ物足りない」と思うのか。さらなる高密化を進めるやからがいる。いまだ成長経済を止められないのだろうか。止めようとしないから、明かりも見えてこない。
二章では、「イヤイヤ、止められるヨ」と想起できるフォークアーキテクチュアの事例を紹介します。そこでは大きなお金が動かない。商売側は嫌がる事業だが、建築需要者にとっては、住宅環境をレベルアップさせ、生活内容を高揚させる結果を獲得できる。その様子を見ていただきます。自分たちでつくるマンション、コーポラティブ住宅を一例紹介しましたが、以外にも、2000年以降、コーポラティブ住宅に楽しいハプニングがいっぱい起こっています。伝統芸能・狂言師が住む家では、南西向かいにある街角公園を背景にした居間を兼ねた舞台があります。都心の一階住戸の地下階には専用のバレーホールができました。郊外の五階建てマンションの一階には「プロはだしの住人グループ」が太鼓をたたく音楽ホールができあがります。普通、共同住宅では考えられない機能だと思われる空間ですが、市場マンションとは正反対にコーポラティブ住宅では、需要があって供給が従うという仕組みですから、住まい手の思いがそのままカタチになるわけです。
買ってから何十年もたって、各戸住まい手の生活環境と家族・経済条件が様々に変化した区分所有者たちが、老朽化したマンションを建て替えるのは、極めてむつかしい社会的超難題と言われています。
マンションの建て替えにおける困難性をどのように解消するかという大きなテーマに挑戦したボクたちの結論です。三章では、一戸だけでも建て替えできる「木造の区分所有マンション」を見ていただきます。21世紀に入ってここ十数年、ボクの身近で建設されたコーポラティブ住宅は、販売住宅が超高層化する流れと正反対に、木造で低層化するという劇的な変化を果たしました。
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