右二人はおじさんの父母で、左二人はおじさんの兄夫婦であり、兄はもう一人の写真愛好者ボクの父だ。桜爛漫に陽光がその柔らかい影を落とす素晴らしい光景に、面白い時代背景をボクは見出している。
2組の夫婦とも夫の影を踏まない数歩後を歩きつつ、母と息子は横ならびに歩んでいる。太平洋戦争が終わってからの民主的・超リベラルなボクの家族しか知らないボクにとって、きわめて面白い写真なのである。この時から70年も生き続けた父は、敗戦を弟の死をもって経験し、ボクと生きた戦後は、誰よりも時の権力をこき下ろす極めてラジカルなヒトとしてその後ずっと存在し続けたのをボクは見届けてきた。海軍大臣賞懐中時計などで権力に騙され死んでしまった写真仲間・弟分の死に追い込まれる壮絶な想いを足した当然のふるまいだったのだろう。100才を越えた朦朧頭脳はボクとおじさんを入れ替えて詩を迎えようとしていたのである。
(父・千明、おじ・年了から、「千年写真館」と命名)
近くを通りがかる機会があれば、ぜひご覧いただきたい。写真一枚いちまいが当時の「自分度」の高く豊かな生活風景をよみがえらせていますヨ。
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