自由設計のステージづくり
個々の住宅がつくられる平面・ステージは、上下の床版と界壁に区画され、二方から四方の外壁側が開放された単純な四角形となっています。多様な住み手の自由設計・個々の生活文化観を踏まえたその家族らしいインフィルは、正角なステージがあってこそ実現できます。
個々人が、自由な演技をやっていただくようにしたものです。
一般的には6~8本の柱を必要とするステージが、ここでは太い4本だけの柱のコアフレームで構成されます。そこから持ち出した床版(ソフトエリア)も含めて個々のステージが形成されます。
ソフトエリアは逆スラブ(普通の構造は梁の上端に床版、この場合は逆で下端)として、ソフトエリアだったらどこにでも水廻りが配置できます。床版の上面から床仕上げ材の間に配管スペースが確保され、設計自由度を確保してバリアフリー住宅が実現できます。下界床は区分所有の大事な部位として、遮音、防火性能を求められ硬く強い不変の構造物が要求されます。一方、外気との区画である外壁と外床(屋根)は、逆に柔らかく自由で変化しうる構造物が求められるのです。その結果は、築後20年以上も経って、その新鮮さを依属するどころか、世間の共同住宅がとめどもなく後退劣化していく中で、ますます輝きを増しています。
完成した時点では、日本の一人の建築学者だけに、“日本一の共同住宅だ”と言わせることができたのですが、20年がたっての今は、アメリカの建築学者に、“スケルトンインフィル住宅の到達点”として評価されるに至っているのです。
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